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ワインの原産地呼称について考えてみる 

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今回はワインの法律といえる「原産地呼称制度」について書きたいと思います。
先日ある新聞記事でイタリアとプロセッコとプロシェック というワインの名称が
似ていることから揉めているというものでした。
 

 

原産地呼称とは 

ワインはぶどうからできたお酒ですが、他のお酒と異なり水を一滴も使っていません。
だからぶどうそのものの味わいがワインに大きく影響します。
その土地や地域の個性がそのままワインの味わいの個性となります。
それだけ地域というものに根付いているお酒ですので
どの地域のものか、味を担保する=品質基準を満たしているという「太鼓判」を押すものが
原産地呼称というものになります。
有名なのはフランスのAOCです。
AOCとは「Appellation d’Origine Contrôlée(アペラシオン・ドリジーヌ・コントロレ)」の略称で、
原産地統制呼称制度というフランスの制度です。
19世紀中ごろ、フランスではぶどうの病気が大流行し、経済不況や戦争などの影響で
産地を言いながら中身がちがう、いわゆるインチキワインが大流行しました。
そういった経緯で生まれたのが原産地統制呼称制度です。
今では世界のワイン産地で、それぞれ独自の法律が定められています。
ぶどうの品種、栽培方法、ワインの製造(糖度、アルコール度数、補糖など)、醸造など規定されており
これが地域と品質の証となります。

 

日本ワインの原産地呼称 

日本は2018年に、ワイン法が制定されました。(ずいぶん遅い!)
国内で流通しているワインは、輸入ワイン、国内製造ワイン、日本ワインと3つに分けられました。
日本ワインとは日本国内で栽培、収穫されたぶどうを使用し、日本国内で醸造されたワインのことです。
国税庁の資料によると、お酒の地理的表示(GI)として、ワイン(ぶどう酒)では
山梨、北海道、長野が指定されています。
ラベルにそれぞれ認定のマークが示されていますので、お店で見てみてください。
例えば北海道なら、「ケルナー」「ナイアガラ」「山幸」「ピノ・ノワール」などのぶどうを
使い、規定の基準を満たしたものが指定されています。

 

地域の個性を知る

ワインの世界が面白いのは、先日書いたナチュラルワインもそうですが
あえて格付けをとらない、とか認証を受けないでリリースしているものも多くあります。
原産地呼称は安心して飲めるものですが、格付けや呼称があるからいい、
ないから粗悪なワインということでは決してありません。
例えば、イタリアでは、地域の土着ぶどうを使っていないと「DOSG」という格付けをもらえないのですが
あえて、違うぶどうを使ったワインを造り、人気を集めているものもあります。
造り手は、ぶどうの個性やその土地の環境(土壌、畑の向き、降水量、温度等)を活かしたワイン造りをしています。
我々飲む側をそれを、どういう背景で造られたかを想像しながら楽しみたいと思います。

一方で、ワインの世界ではまだ歴史の浅い日本では、造り手を保護する
地域ブランドを活性化するという意味で、原産地呼称は大事なものだと思います。
今回もかなり個人的な意見で書いてしまいました。
地域ブランドは奥が深いです。

 

冒頭のプロセッコ、プロシェックについて書いていませんでした・・・。
プロセッコはイタリアのスパークリングワインで2009年に現産地呼称名称保護を受けています。
後味にほのかな甘みがのこり、昨今では世界中で人気がでています。
一方のプロシェックは、クロアチア、アドリア海沿岸で生産されている甘口のデザートワイン。
これは飲んだことがありません。確かによく似た響きです。

 

 

日に新たに、日々に新たなり

 

 

●一日一新
ぶどうの皮むき
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